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DX銘柄に選ばれる企業は何が違うのか?DX戦略・人材育成・実装のポイントを解説
目次
- DX銘柄とは何か―選定の意味と、選ばれる会社の条件
- DX銘柄が注目される理由
- DXが進まない企業に共通する課題
- 1.DXの目的が曖昧になっている
- 2.経営と現場が分断されている
- 3.DX人材育成が一過性で終わっている
- DX成功のカギは「人材」と「組織」にあります
- DX銘柄に近づく企業が取り組むべき3つのステップ
- STEP1. 経営の未来像を描く
- STEP2. DXを推進する人材を育てる
- STEP3. 実践を通じて組織に定着させる
- パソナグループのDXが示す「人を活かすDX」
- パソナデータ&デザインが担う役割
- DXを「構想」から「実装」へ進める中核機能
- DXを本気で進める企業に必要な2つのアプローチ
- 経営層からDXを進めるならエグゼクティブ・リトリート
- 現場でDXを推進する人材を育てるならDXリーダーズプログラム
- DX推進を次のステージへ進めたい企業様へ
- まとめ
- DX銘柄が示す、これからの企業に必要なDXの本質
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、いまや多くの企業にとって避けて通れない経営テーマです。
一方で、「DXに取り組んでいるものの成果が見えない」「システム導入で止まっている」「DX人材が育たない」「経営と現場の認識が揃わない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
DXは、単なるデジタルツールの導入や業務効率化ではなく、企業がどのように価値を生み出し、顧客や社会に提供していくのかを見直す経営変革です。
そのような中で注目されているのが「DX銘柄」です。
DX銘柄とは、DXによって企業価値向上を実現している企業を選定する制度です。単にIT活用が進んでいる企業ではなく、デジタル技術を前提に、ビジネスモデルや組織、人材、経営のあり方を変革している企業が評価されます。
本記事では、DX銘柄の意義を整理しながら、これからの企業に求められるDX戦略、人材育成、組織変革の考え方について解説します。後半では、DXを実践に移すための具体的なアプローチとして、経営層向けの「エグゼクティブ・リトリート」と、DX推進人材を育成する「DXリーダーズプログラム」についてもご紹介します。
DX銘柄とは何か―選定の意味と、選ばれる会社の条件
「DX銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が2020年から共同で運営している制度です。2023年からはIPAも加わり、技術的・実践的な観点も重視されるようになりました。
東証に上場する企業の中から、DXに先進的に取り組む企業を選定する制度であり、選定される企業は年間でも限られています。
DX銘柄で重視されるのは、単にデジタル技術を導入しているかどうかではありません。デジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織、人材、経営のあり方を変革し、企業価値向上につなげているかどうかが問われます。
主に評価される観点は、次の3つです。
①DX実現能力
デジタル技術の活用によって、ビジネスモデルの変革や新たな価値創出を実現できる組織能力があるかどうかが見られます。経営トップの関与、全社的なデジタル施策の展開、デジタル人材の育成方針なども重要な評価ポイントです。
②ステークホルダーへの発信
投資家や社会に対して、DX推進の取り組みや成果を適切に開示しているかどうかが問われます。法定開示にとどまらず、DXビジョンや具体的な取り組みを積極的に発信しているかも重要です。
③企業価値への貢献
DXの取り組みが既存事業の深化や新規事業の創出につながり、企業価値向上に貢献しているかどうかが見られます。方向性だけでなく、指標や成果の提示も求められます。
つまりDX銘柄とは、「IT活用が進んでいる企業」を示すものではありません。
企業のDX実行力、変革力、そして将来の価値創造力を示す指標だと言えます。
DX銘柄が注目される理由
DX銘柄が注目される背景には、DXが企業価値と直結する時代になっていることがあります。
これまで多くの企業では、DXは業務効率化やシステム刷新の文脈で語られることが多くありました。もちろん、業務効率化や生産性向上はDXの重要な成果の一つです。
しかし、現在のDXはそれだけでは十分ではありません。
企業に求められているのは、デジタル技術やデータを活用しながら、顧客体験、事業モデル、組織運営、人材育成のあり方を変えていくことです。
特に生成AIの普及により、業務の自動化や効率化だけでなく、企画、分析、顧客対応、意思決定支援など、企業活動のさまざまな領域で変革が進みつつあります。
そのためDXは、情報システム部門だけのテーマではありません。経営層、事業部門、人事部門、現場リーダーが一体となって取り組むべき経営テーマになっています。
DXが進まない企業に共通する課題
一方で、多くの企業ではDXが思うように進んでいません。その理由は、技術不足だけではありません。むしろ、DXの目的や推進体制、人材育成の設計に課題があるケースが多く見られます。
1.DXの目的が曖昧になっている
DXが進まない企業では、「何のためにDXを行うのか」が十分に整理されていないことがあります。
たとえば、「生成AIを活用したい」「システムを刷新したい」「紙業務を減らしたい」といった施策の話が先行し、最終的にどのような事業価値を生み出すのかが曖昧なまま進んでしまうケースです。
DXは、手段ではなく経営変革のためのアプローチです。目的が曖昧なままでは、施策は増えても成果にはつながりにくくなります。
DXの基本的な意味や、IT化・デジタル化との違いを整理したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
DXとは?概要や求められている背景、ITとの違いと必要な要素を解説
2.経営と現場が分断されている
DXは、経営層だけでも、現場だけでも進みません。
経営層が「事業変革を進めたい」と考えていても、現場がその意図を理解できていなければ、DXは単なる業務負荷として受け止められてしまいます。
一方で、現場で有効な改善アイデアが生まれていても、経営戦略と接続されなければ、局所的な改善にとどまります。
DXを前に進めるには、経営の意思決定と現場の実行をつなぐ人材が必要です。
3.DX人材育成が一過性で終わっている
DX研修を実施しても、受講して終わりになってしまうケースも少なくありません。
DX人材育成で重要なのは、知識を学ぶことだけではなく、学んだことを自社の課題に適用し、実際に周囲を巻き込みながら行動に移すことです。
DX人材は、講義だけで育つものではありません。実践、対話、越境学習、フィードバックを通じて、少しずつ育っていきます。
DX人材の育成や、学び続ける環境づくりについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
DX人材は「育てる」のか、「育つ」のか—学び続ける環境が生む変革人材
DX成功のカギは「人材」と「組織」にあります
DX銘柄に選ばれるような企業に共通しているのは、デジタル技術の導入だけではなく、人材と組織の変革に取り組んでいることです。
DXを成功させるためには、次のような人材が必要です。
ビジネス課題を構造化できる人材
データやAIを活用して解決策を考えられる人材
部門を横断して関係者を巻き込める人材
顧客やユーザー視点で価値を設計できる人材
事業変革のストーリーを描ける人材
このような人材は、単なるIT人材とは異なります。
むしろ、ビジネスとデジタルの両方を理解し、組織を動かしていく「ビジネスアーキテクト型」の人材だと言えます。
ビジネスアーキテクトとは?役割と必要なスキルを徹底解説
DX銘柄に近づく企業が取り組むべき3つのステップ
DXを企業価値向上につなげるには、個別施策の積み上げだけでは不十分です。重要なのは、経営、組織、人材、実行を一体で設計することです。
STEP1. 経営の未来像を描く
まず必要なのは、DXによって自社がどのような未来を目指すのかを明確にすることです。
自社はどの市場で価値を提供していくのか。顧客や社会に対してどのような役割を果たすのか。デジタル技術やAIをどのように活用するのか。人とテクノロジーの関係をどう設計するのか。
これらの問いに経営層が向き合うことが、DXの出発点になります。
STEP2. DXを推進する人材を育てる
次に必要なのは、戦略を現場で動かす人材です。
DXは、経営層が方針を示すだけでは進みません。事業部門、現場部門、人事部門、DX推進部門が連携し、変革を実行する必要があります。
その中心となるのが、DXリーダーです。DXリーダーは、単にデジタルに詳しい人ではありません。課題を発見し、関係者を巻き込み、ビジネス変革を推進できる人材です。
STEP3. 実践を通じて組織に定着させる
最後に必要なのは、実践と定着です。
研修を受けて終わりではなく、学びを自社の課題に適用し、プロジェクトとして動かしていくことが重要です。
DX人材育成は、一度きりの研修ではなく、継続的に学び、実践し、振り返る仕組みとして設計する必要があります。
パソナグループのDXが示す「人を活かすDX」
ここまで、DX銘柄の意義や、DXを企業価値向上につなげるために必要な考え方を見てきました。では、実際にDX銘柄に選定された企業では、どのような取り組みが評価されているのでしょうか。
その一例として、パソナグループの取り組みを見ていきます。
パソナグループは、2026年4月10日に「DX銘柄2026」に選定されました。2022年に「パソナグループDX宣言」を策定し、2025年に発表した中期VISION「PASONA GROUP VISION 2030」と連動したDXビジョンのもと、全社的なDX推進に取り組んでいます。
評価のポイントとして注目したいのは、DXを単なる効率化ではなく、「人を活かす」ための基盤として位置づけている点です。
AIやデータ活用によって人の役割を置き換えるのではなく、人がより創造的な仕事に向き合い、より高い価値を発揮できる環境をつくることを重視している点は、これからのDXを考えるうえで重要な示唆になります。
DXは、人を減らすための取り組みではありません。人が持つ知恵、経験、創造性を最大限に活かすための取り組みです。
パソナデータ&デザインが担う役割
DXを「構想」から「実装」へ進める中核機能
パソナグループのDXにおいて、特に重要な役割を担っているのが、パソナデータ&デザインです。DXの難しさは、戦略を描くだけでは成果につながらない点にあります。
多くの企業では、DX方針は掲げているものの、現場での実行に落とし込めない、データ活用が事業成果につながらない、AI活用の着手点が見えない、研修を実施しても行動変容につながらない、といった課題が起こりがちです。
こうした課題を乗り越えるには、戦略、データ、AI、デザイン、人材育成を分断せず、一体で設計することが必要です。
パソナデータ&デザインは、まさにこの領域において、DXを構想で終わらせず、実装へ進めることを支援します。
単なる技術支援ではなく、企業が抱える本質的な問いを捉え、ビジネスデザイン、データ活用、AI活用、人材育成を組み合わせながら、変革を実行可能な形に近づけていく点に特徴があります。
DXを成功させるには、経営が描く未来像と、現場で動く人材、そしてデータやAIを活用した実装力をつなげる必要があります。
DXを本気で進める企業に必要な2つのアプローチ
ここまで見てきたように、DXを企業価値向上につなげるには、経営と現場の両方から取り組む必要があります。
そこで重要になるのが、次の2つのアプローチです。
1つ目は、経営層が未来戦略を描くこと。
2つ目は、現場でDXを推進する人材を育てることです。
この2つを分断せずに進めることで、DXは単なる施策ではなく、組織全体の変革として動き始めます。
経営層からDXを進めるならエグゼクティブ・リトリート
DXが進まない企業では、現場の努力以前に、経営層の目線が揃っていないケースがあります。
自社の未来像が明確になっていない。DX投資の優先順位が決まらない。経営層と事業部門の認識に差がある。DXを新規事業や事業変革につなげきれていない。
このような課題がある場合、まず必要なのは経営層の対話です。
パソナデジタルアカデミーの「エグゼクティブ・リトリート」は、経営層や幹部が日常業務から離れた環境で、深い対話と内省を通じて、長期的な戦略や次なるビジョンを創出するための滞在型プログラムです。
自社製品やサービスを提供する未来の市場をビジネスアーキテクチャとして描き、自社が果たす役割を明確にすることを目的としています。
\ 自社の未来戦略を描くプログラムを見る /
現場でDXを推進する人材を育てるならDXリーダーズプログラム
経営層が方向性を描いたとしても、それを現場で実行できる人材がいなければ、DXは前に進みません。
必要なのは、経営と現場をつなぎ、部門を横断しながら、ビジネス変革を推進できるDXリーダーです。
パソナデジタルアカデミーの「DXリーダーズプログラム」は、DXを推進し、自社のビジネス変革をリードできる人材を育成する実践的なプログラムです。
DXに不可欠なスキルを総合的に学びながら、自社課題をもとにDXをプランニングすることで、知識の習得にとどまらず、実務での行動変容につなげていくことを目指します。
特に、チームでのワークショップや参加者同士の越境学習を通じて、視野を広げながらDX推進に必要なマインドやスキルを学べる点が特徴です。
\ 実践型DX研修の内容について /
DX推進を次のステージへ進めたい企業様へ
DX銘柄が示しているのは、DXは一部門の取り組みではなく、企業価値向上に直結する経営テーマであるということです。そして、その実現には、経営層の意思決定と、現場で変革を推進する人材の育成が欠かせません。
もし現在、次のような課題を感じている場合は、自社の状況に合った取り組みを整理することが重要です。
・DXの方針はあるが、経営戦略として整理できていない
・DX人材を育成したいが、何から始めるべきかわからない
・研修を実施しても、現場での行動変容につながらない
・生成AIやデータ活用を事業変革に結びつけたい
・経営層と現場の目線を揃えたい
パソナデジタルアカデミーでは、経営層向けの「エグゼクティブ・リトリート」と、DX推進人材を育成する「DXリーダーズプログラム」を通じて、企業のDX推進を支援しています。
経営層からDX戦略を見直したい方は、エグゼクティブ・リトリートをご覧ください。
DX推進人材を育成したい方は、DXリーダーズプログラムの資料をご覧ください。
まとめ
DX銘柄が示す、これからの企業に必要なDXの本質
DX銘柄とは、単にデジタル化に積極的な企業を選ぶ制度ではありません。単に優れた情報システムの導入やデータの利活用にとどまらず、AIをはじめとしたデジタル技術を前提としたビジネスモデルそのもの及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業を評価するものです。
DXを成功させるためには、ツールやシステムを導入するだけでは不十分です。必要なのは、経営として未来像を描き、現場で変革を推進する人材を育て、実践を通じて組織に定着させることです。
パソナグループのDX銘柄選定は、その重要性を改めて示すものです。特に、パソナデータ&デザインが担うような、戦略・データ・AI・デザイン・人材育成をつなぐ実装機能は、これからのDX推進においてますます重要になると考えられます。
DXは、もはや「やるかどうか」の段階ではありません。
これから問われるのは、どのような未来を描き、誰が推進し、どう実装するかです。
自社のDXを次のステージに進めるために、まずは経営の対話と、DX人材育成の両面から見直してみてはいかがでしょうか。