特集記事
DXリーダーズプログラム
インタビュー|DX推進担当が異業種と交わってDXを学ぶ意義
はじめに
総合商社の兼松株式会社様に、DXリーダーズプログラム第1期に参加していただきました。
兼松株式会社様は中期ビジョン「future 135」の重点施策「技術革新への対応」のなかで「グループを挙げたDX 推進」を掲げ、2024年4月から中期経営計画「integration 1.0」に入りDXとGXの両輪で変革を加速しています。
参加者を選出していただいたIT企画部・寺崎様と、実際にプログラム参加された同部・藤田様に、DX リーダーズプログラムについてお話を伺いました。
(※仕事内容・部署はインタビュー当時のものです。)
DX推進部門でも体系的にDXを学ぶ場は必要
まずはIT企画部・寺崎様に、兼松株式会社様のDXの取り組みやリーダーズプログラムへの思いを伺いました。
ー2021年からグループ横断的にDXの取り組みされておりますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
世の中の流れも相まってDXに会社として取り組む方向性が根本にありました。商社の仕事も徐々にデジタルに置き換わってしまうのではないかという危機感を社員みんなが漠然と持っていたので、デジタルを前提としたBtoBのビジネスをどうしていくか、様々な取り組みが始まっていたことがきっかけです。
ー具体的にはどのような取り組みから始まったのでしょうか?
いろいろありますが全社的なところですと、2019年10月にオフィス移転を発表し、床面積を半分近くにしなければならないことから、紙を徹底的になくしていくというペーパレスの動きがDXの後押しになりました。まずは社内稟議などの決裁文書を全てデジタル化するシステムを入れ、経営会議の資料もタブレットに切り替えるなど、デジタイゼーションの流れがありました。
そこにコロナ禍がきて、DX推進の追い風にもなったんですよね。 リモートワークを強いられたので、ファイルサーバーをクラウドに移行し、追い立てられるようにどんどん前倒しでやらざるを得なかった。これらの動きが本格的な当社のDXの走りだったと思います。
ーDX推進室の役割を教えてください。
もともと我々IT企画部は、いわゆる情報システム部門の流れを汲んできています。DX推進室を作るときに営業部門中心に他部署から来た方を集めたのが、今のDX推進室です。
私自身は、現場の業務のナレッジがある人と、テクノロジーに得意な人との間で、会話が噛み合わないのが日本のDXが進まない原因の一つだと思っています。
よく「ブリッジ人材を作ろう」と社内で言っているのですが、現場の言葉もちゃんとわかる、テクノロジーの人たちとも会話ができる、バイリンガルのような人が増えていかないと、うまく進まないと思っています。そういうブリッジ人材を増やしていくことが1つのミッションです。
ーリーダーズプログラムへの参加者はどのように選ばれましたか?
今回が初めての参加でもあったので迷いましたが、体系的にDXの概念を短期間に学ぶ機会が営業出身の方は少ないため、営業出身である藤田さんを選出しました。
戦場(DXの現場)に出るうえで、ワークショップなどの経験を通じて知識を体系化し、肉付けするにはいいと思いました。
プログラムへの参加は越境経験を得られるチャンス
ーリーダーズプログラムの魅力を教えてください。
研修には、座学を通じて知識を強化していく部分と体験や経験を積む部分の両方が必要だと思っています。それを短期間でバランスよく両方に触れられるところが良いところではないでしょうか。
研修はサプリメントみたいなもので、長く飲み続けることで徐々に効果が出てくる。鎮痛剤のような即効性は研修にはありません。すぐに効果が出るものではないからこそ、人材育成には我慢と根気が重要だと思います。
あとは、様々な業界の方と一緒に参加することが越境経験になると思います。 DXとは価値観の異なる人を理解して壁を乗り越えることですから、まさに越境経験の場を増やす意味ではチャンスの一つにはなったと思います。
ープログラムの最後にあるDX実行プラン発表会に入っていただきました。藤田様や他社様の発表を聞いてみて、いかがでしたか?
この短期間で変革案をまとめて発表するまでが演習の一環で、異業種のメンバーが同志として相互に意見もぶつけあった結果が表れた発表だったと思いました。いずれもすぐに収益に直結する事業にすることは難しいですが、業務課題の本質追求とデジタル技術の特性を踏まえて、一つの変革案という形にまとめる苦労もうかがえました。
他社の参加者の発表からも大いに気付きを得られました。私たち商社は様々な業界のお客様を抱えていますので、他の参加者の発表内容には、当社のお客様にも通ずる課題が見受けられました。
ーこのプログラムにどのような効果を期待されますか?
限られた時間の中で、 突然DXのスーパーエバンジェリストになることは難しいと思います。とはいえ、藤田さんが日々抱えている案件の中で、プロジェクトマネジメントの進歩につながるものと期待します。
「知識装着」という言い方をする人がいますが、知識を血肉化するのは機械に部品をつけるような簡単なものではありません。研修は知識を得る動機付けやきっかけに過ぎませんから、このプログラムへの参加を通じて、藤田さんのプロジェクトに向かう姿勢や、これからも新しいことを学んでいこうとするときの心構えに何か変化があれば、それがこの投資の価値と評価したいと思います。
シームレスに物事を考える視点が、DX推進室での業務に活きている
3ヶ月間のプログラムに参加してくださった藤田様。DX部門からの参加者としてどのようなことを学んでいただけたのか、お話を伺いました。
ー今どのようなお仕事をされているか教えてください。
DX推進室で全社のデータ基盤プロジェクトに携わっています。グループ全体でどのように情報を共有していくのがあるべき姿なのかという視点で進めています。
商社にとって顧客データや取引データなどのデータは大事な資産であり生命線なので、利活用を進めると共にセキュリティを踏まえた開示範囲など検討しています。
ーDX部門としてこのプログラムへ入ってみていかがでしたか?
DXにははっきりとした定義がないと思います。そういう意味で、色々な視点からDXについて教えていただけたのは興味深かったです。DXは様々な解釈があると思うので、それぞれの講師がどのようにDXを捉えているのか?という点や、DXの事例を紹介していただけたのは、営業職経験もあり面白かったです。
ープログラムを終えた率直なお気持ちをお聞かせください。
アルムナイ向けの学びの場を用意していただいているので、プログラムが終わってからも参加者同士で話せる機会があるのはこのプログラムならではだと思います。今もコミュニケーションとって現状を共有しあっています。
ー印象的な学びはありましたか?
最後の「自社をDXする」という課題が印象的でした。DX・IT部門は社内で、どちらかというと「お手伝いをする」立場が多いと思います。
自社業務を変革するとしたらどういうことが考えられるか、について今までと違う頭の使い方・考え方をしました。後藤先生からアドバイスもいただきながら、アイデアを練ったのは良い経験でした。
ー社外の方と一緒に学ぶ良さはありましたか?
グループ会社と行う研修はあるのですが、今回は全く違う、金融や外資の方もいらっしゃったので、考え方の違いをすごく感じました。
たとえば、金融系の方はセキュリティを意識した発言や提案が多く、不動産系の方は長期的な時間軸でビジネスを検討している。それを身近で感じられたのは新鮮でした。
また、宿泊があり研修以外の時間も共有できたこともモチベーションを保てた秘訣だと感じました。
ー学んでいただいたことは業務に活きていますでしょうか?
あのときに学んだ考え方は今の業務に応用できています。プラットフォームを作るシステムということは、つながりを作っていくことですよね。システムが繋がることで情報がどんどん共有されていくというプラットフォーム的な考え方は、今行なっているようなプロジェクトに役立っているので良かったです。
プラットフォームなので、セキュリティの問題や情報開示の範囲といった権限回りの理解が重要です。当プログラムでそれらの知識を得られたので業務に効果的でした。また、後藤先生のGDPR(個人データ保護やその取り扱いについて詳細に定められたEU域内の各国に適用される法令)の考え方も含めて、個人情報をどう扱うかなど、シラバスに書いてある以上にご説明いただいたのもよかったですね。
編集後記
今回のインタビューを通して、DX部門の方がプログラムへ参加することで、体系的に学んだDXについての知見を社内でDX推進される際に活かしていただけるのだと感じました。
今回の藤田様のように、社内研修では感じられない刺激や新しい発見を得られると、異業種で学ぶ良さを受講生の皆様に感じていただいています。
DXリーダーズプログラムは、自社のビジネス変革をリードする推進人材を育成します。
DX推進は様々な部門が関わるため、推進力を身に付けるためには他者との共創や越境体験が効果的です。だからこそ、自社のDX推進やDX人材育成施策に携わっているDX推進部門の方におすすめのプログラムです。
プラン発表会やプログラム修了後のアルムナイ交流には、参加者の上司の方にも参加いただけます。学びだけで終わらない「繋がりの場」も提供している点は、他にはない特徴です。
今後もDXリーダーズプログラムは継続して開催いたします。異業種の考えに触れ、ともに学ぶこの機会に、ぜひ参加をご検討くださいませ。
プログラムの詳細情報はこちらよりご覧いただけます。
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