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現場DXとは何か?すかいらーくに学ぶ「時間の再配分」で価値を生むDXの本質
目次
DXというと、多くの企業が「効率化」や「システム導入」を思い浮かべます。しかし、本来のDXはそれだけではありません。
重要なのは、削減した時間をどう使い、どんな価値を生み出すかです。
本記事では、すかいらーくのシフト管理改革を例に、現場から始まったDXがどのように働き方と価値創出を変えたのかを解説します。
キーワードは「現場DX」と「時間の再配分」。DXに取り組むすべての企業にとってヒントとなる事例です。
今回は、公開済みのすかいらーく様のインタビュー記事から、一部を抜粋してお届けする1回目となります。
現場DXを推進するリーダーはどう育つのか
~すかいらーくDX担当者が語る、実践型「DXリーダーズプログラム」とアルムナイコミュニティの価値~
なぜDXの起点は「店舗(現場)」だったのか
DXという言葉が広がる中で、取り組みの出発点は企業によって大きく異なります。本部主導で全社改革として進めるケースもあれば、特定部門から始めるケースもあります。
その中で、すかいらーくの取り組みが特徴的なのは、DXの起点が「店舗」にあったことです。背景にあったのは、コロナ禍によってその必要性が一気に顕在化したことでした。外食産業にとって、お客様に来店いただき、食事をしていただくことは事業の根幹です。
しかし、感染対策が求められる中で、その前提自体が揺らぎました。接触を減らしながら、これまでと同じ、あるいはそれ以上のサービス体験をどう実現するか。この問いから、現場起点のDXが動き始めました。
店舗DXは「仕組み導入」ではなく業務改革である
その結果として進んだのが、モバイルオーダー、配膳ロボット、セルフ会計といった店舗DXです。
しかし重要なのは、これらが単なる「新しい仕組みの導入」ではなかった点です。結果として、業務の在り方そのものを見直す改革につながっていきました。
すかいらーくグループには、アルバイトを含めて10万人以上の従業員がいます。この規模の組織では、1人あたりの削減は小さくても、全体では大きなインパクトになります。
だからこそ、本部機能からではなく、まずは店舗という最大の現場から変える。この判断が、DXの効果を最大化する起点となりました。
現場を知る人がDXを進めると何が変わるのか
この取り組みをより本質的なものにしているのが、推進者の視点です。
三品様は現場出身であり、IT一筋のキャリアではありません。だからこそDXを「技術の導入」ではなく、「現場の不便を解消するもの」として捉えています。
インタビューの中で語られた、「自分がやってきて嫌だったことを変えているだけ」という言葉は象徴的です。現場には、日々のストレスや無駄な作業、非効率な動きが積み重なっています。それを実体験として理解している人がDXを進めることで、施策は机上の空論になりにくくなります。
結果として、
・目的が明確になる
・現場に受け入れられる
・定着しやすい
という好循環が生まれます。
DXはなぜ「効率化」で終わってはいけないのか(時間の再配分)
DXは効率化のためのもの―そう捉えられることは少なくありません。しかし、それはあくまで入口に過ぎません。
本質は、時間の再配分にあります。例えば、これまで事務作業に3時間かかっていた業務が、DXによって1時間になる。重要なのは、その削減された2時間をどう使うかです。
・接客の質を高める
・店舗の清掃や環境改善に使う
・人材育成に充てる
こうした“価値を生む時間”に転換してこそ、DXの意味が生まれます。
難しいことではなく、「自分がやっていて嫌だったことを変える」という発想。この視点の転換こそが、成果を分けるポイントです。
現場DXを成功させる人材とは(DXリーダーの条件)
では、このような現場起点のDXを実現するために必要なものは何でしょうか。
鍵となるのは、「現場を理解している人材」です。現場を知らないまま進めるDXでは、何を変えるべきかの優先順位が見えません。
一方で、現場を知っている人は、本当に解決すべき課題を見極めることができます。その結果、施策は実行され、現場に定着していきます。
ただし、こうした人材は自然に育つわけではありません。現場理解に加えて、構造的に課題を捉え、変革を設計する力が求められます。
現場起点のDXを実現するための学びとは
現場DXは、ツールを導入するだけでは実現できません。重要なのは、「現場の課題を構造的に捉え、変革を設計できる人材」です。
パソナデジタルアカデミーのDXリーダーズプログラムでは、自社課題をベースにDXプランを構築し、実行までを見据えた実践型の学びを提供しています。チームでのワークショップや越境学習を通じて、DXの本質やユーザー起点でのビジネス設計を学びながら、具体的なアクションへと落とし込んでいきます。
単なる知識習得ではなく、「自社でどう実現するか」まで踏み込む。だからこそ、現場からDXを動かせるリーダーが育ちます。
現場から変革を起こしたいと考えている方は、ぜひ一度プログラムをご覧ください。
DX人材育成を前提に、現場DXの第一歩を踏み出す
現場からDXを始めるうえで重要なのは、「何を導入するか」ではなく、どのように変革を設計するかです。
そしてもう一つ欠かせないのが、その変革を担うDX人材をどう育てるかという視点です。
DXはツール導入ではなく、現場の意思決定や業務の進め方そのものを変えていく取り組みです。だからこそ、現場を理解し、自ら考え、動ける人材の存在が前提になります。
パソナデジタルアカデミーのDXリーダーズプログラムでは、自社の課題を起点に、ビジネス変革を“構想だけで終わらせず”、実際のDXプランとして形にしていく実践型の学びが提供されています。
また、異業種の参加者との共創型ワークショップを通じて、自社だけでは得られない視点や気づきを得られる点も特徴です。
「何から始めるべきか」を言語化し、同時にDX人材育成の第一歩を踏み出したい方は、ぜひ詳細をご覧ください。
■編集後記
DXという言葉が広がるほどに、その意味は曖昧になりがちです。効率化、システム導入、AI活用—どれも間違いではありませんが、それだけでは本質には届きません。
今回のインタビューで印象的だったのは、「自分がやってきて嫌だったことを変えているだけ」という言葉でした。この一言に、現場から始まるDXのすべてが詰まっているように感じます。
現場には、まだ言語化されていない不便や無駄が数多く残っています。そして、それに気づけるのは、そこで働いてきた人だけです。
DXはテクノロジーの話ではなく、人の時間の使い方をどう変えるかという問い。そしてその出発点は、いつも「現場」にあります。
効率化の先に、どんな価値を生み出すのか。その問いに向き合い続けることこそが、これからのDXに求められる視点なのかもしれません。