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DXリーダーとは?ビジネスアーキテクトの違い、企業のDXにおける位置づけ、役割、求められるスキルなどについて解説

目次
近年、日本企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるIT化の延長ではなく、経営課題として不可欠な取り組みとされています。
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」問題に象徴されるように、既存システムの老朽化や人材不足、競争環境の変化により、企業は迅速な変革を迫られています。
その中心的な役割を担うのが「DXリーダー」と「ビジネスアーキテクト」です。両者はDX成功のために欠かせない存在ですが、その役割やスキルは異なります。
本稿では、両者の違いや企業における位置づけを整理し、今後のDX人材育成のヒントを探っていきます。
DXリーダーとは
DXリーダーとは、企業においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、全社的な変革をけん引する存在です。単なるプロジェクトマネージャーやシステム導入責任者ではなく、経営層と現場をつなぐハブとして、戦略策定から実行、さらには組織文化の変革に至るまで広範な役割を担います。
DXリーダーが求められる背景
企業を取り巻く環境は急速に変化しています。クラウドやAI、IoTといった技術革新に加え、消費者ニーズの多様化、グローバル競争の激化、人材不足など、従来型の仕組みでは対応できない課題が山積みです。
こうした中、単にデジタル技術を導入するだけでなく、業務プロセスやビジネスモデルそのものを見直す必要が高まっています。その変革をリードする人物が、DXリーダーです。
DXリーダーの役割
・DX戦略の立案
経営層の意図を理解しつつ、市場動向や技術トレンドを踏まえ、全社のDX戦略を描きます。単にIT投資を計画するのではなく、経営課題をデジタルで解決するための具体的なロードマップを策定するのが役目です。
・全社的な推進力の確保
DXは一部門だけで完結するものではなく、組織横断的な取り組みが不可欠です。DXリーダーは部門間の利害を調整し、共通目標のもとに全社を巻き込みます。抵抗感や不安を持つ社員に対しては意義を説明し、納得感を醸成するリーダーシップが必要です。
・人材育成と意識改革
DXを支えるのは最終的に「人」です。リーダーはデジタル人材の発掘・育成に取り組むとともに、社員一人ひとりがデジタルを前向きに活用できるよう意識を変えていきます。
・成果の可視化と経営報告
DXは長期的な取り組みであるため、短期的な成果が見えにくい側面があります。DXリーダーはKPIを設定し、進捗を定量的に示すことで、経営層や現場の納得感を高めます。
DXリーダーに求められるスキル
・リーダーシップとマネジメント力:組織横断で人を動かす力
・コミュニケーション力:経営層にも現場にもわかりやすく説明できる力
・変革推進力:社内の抵抗を乗り越え、改革を実行に移す力
・デジタルリテラシー:AIやクラウドなどの技術動向を理解し、導入可否を判断できる知識
DXリーダーの重要性
DXが失敗する原因の多くは、技術そのものではなく「組織を動かせない」「現場に浸透しない」といった人と文化に関わる問題です。したがって、DXリーダーは企業におけるDXの成否を左右する中核的な存在だと言えます。
ビジネスアーキテクトとは
ビジネスアーキテクトとは、企業がDXを進める際にビジネスや業務の変革を計画し、具体的なゴールに向けて推進する人材です。単なるIT導入にとどまらず、全社的な戦略策定や業務プロセスの効率化を担い、組織全体を導きます。
しかし多くの企業ではDX人材が不足しており、採用も難しいのが現状です。その中でビジネスアーキテクトは、企業の根本的な仕組みを設計しDXを推進する要として極めて重要な存在とされています。
【ビジネスアーキテクトとは?役割と必要なスキルを徹底解説】
DXリーダーとビジネスアーキテクトの違い
両者の違いを整理すると、以下のようにまとめられます。
観点 | DXリーダー | ビジネスアーキテクト |
---|---|---|
位置づけ | 経営と現場をつなぎ、変革を推進する旗振り役 | 変革を具体的な業務・システム設計に落とし込む設計者 |
主な役割 | ビジョン策定、全社横断の調整、文化改革 | 業務・システム・組織を設計し、実行計画を構築 |
求められる力 | リーダーシップ、戦略思考、影響力 | ビジネス理解、設計力、分析力、調整力 |
フォーカス | 「何を目指すか」 | 「どう実現するか」 |
このように、DXリーダーは方向性を示す「旗振り役」、ビジネスアーキテクトはそれを現場で具体化する「設計者」と整理できます。どちらか一方だけではDXは成功せず、両者が補完し合うことで初めて実効性を持った変革が可能になります。
企業における活用のあり方
企業のDX推進においては、DXリーダーとビジネスアーキテクトの協働が極めて重要です。
・DXリーダーがビジョンを提示
企業としてのDXのゴールや優先課題を示し、全社を巻き込みます。
・ビジネスアーキテクトが具体化
そのビジョンを実現するために必要な業務改革やシステム設計を行い、現場で実行可能な形に落とし込みます。
・両者の連携で推進力を高める
DXリーダーは全体を俯瞰し、経営とのパイプ役を担いながら、ビジネスアーキテクトは現場実行力を発揮することで、バランスの取れたDX推進が可能になります。
まとめ
DXリーダーとビジネスアーキテクトは、いずれも企業のDXにおいて重要な役割を担います。しかしその立ち位置は異なり、DXリーダーは「旗振り役」としてビジョンを掲げ全社を導く存在であり、ビジネスアーキテクトは「設計者」として現場に実装可能な仕組みを描き出す存在です。
求められるスキルも異なりますが、両者が連携することで初めて、戦略と実行がつながった持続的なDXが実現します。企業はこの違いを理解した上で、人材の育成や配置を行い、DX推進体制を整えていくことが求められます。
ビジネスアーキテクト人材育成「DXリーダーズプログラム」
パソナデジタルアカデミーでは、DX推進のためには、ビジネスアーキテクトの素養を兼ね備えたDXリーダーが必要だと考えています。そこで2023年より、自社のビジネスや組織を変革に導ける「DXリーダーズプログラム」を提供しています。
新たな価値を生み出す「ビジネスアーキテクチャデザイン」、他者の協力を引き出す「リーダーシップ」に主眼を置いたカリキュラムです。ビジネス変革の設計に携わりながら、全社を巻き込んだ旗振り役を担える人材を育成します。
\ DXリーダーズプログラムについてもっと知りたい方 /
■編集後記
DXご担当者様とお話しをするとき、「自社のDX人材に求められる素養は何か?と模索中です」というお声をよくいただきます。パソナデジタルアカデミーではDX推進に関してお役に立てるご支援をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください!