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DX認定制度とは?取得のメリットや取得する際の手順とポイントを解説

目次
企業が持続的な成長と競争力を確保するためには、DXの推進が不可欠です。こうした状況を受け、政府は企業のDX推進を支援するために、各種支援措置及び施策を活用することが可能となる「DX認定制度」を導入しました。
DX認定制度は、DXに積極的に取り組んでいる企業を認定し、その取り組みを社会に広く示すものです。DX認定を取得することで、企業はデジタル戦略の強化や信頼性、ブランド価値の向上といった多くのメリットがあります。
そこで本記事では、DX認定制度の詳細とメリット、取得手順や認定を受ける際のポイントについて解説します。
DX認定制度とは
DX認定制度とは、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業について、国が「情報処理の促進に関する法律」に基づき認定する制度です。経済産業省によってデジタル変革(DX)を積極的に推進している企業を支援するために設けられました。2020年に法律が改正されたことに基づき、同年11月からスタートしました。
DX認定制度は、個人事業主から法人、公益法人に至るまで幅広い形態の組織が申請できます。DX認定制度の目的は、企業がデジタル技術を活用して、競争力を高めるための取り組みを支援することにあります。
認定を受けた企業は、名刺やウェブサイトでDX認定ロゴを使用でき、デジタル化に取り組んでいることをアピールできます。
【DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)】 ※引用:経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html
DX認定事業者が活用できる支援措置
DX認定を受けた事業者には、4つの支援措置及び施策を活用することが可能となります。
DX認定制度ロゴマークの使用
認定事業者がホームページや名刺等で「自社がDXに取り組んでいる企業」であることを社内外に向けてPRするためのロゴマークを使用できます。
中小企業を対象とした金融支援措置
日本政策金融公庫による金利優遇としてDX認定を受けた中小企業者が行う設備投資等に必要な資金について、基準利率よりも低い特別利率で融資を受けることができます。
人材育成のための訓練に対する支援措置
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)として、DX認定を受けた事業者は高度デジタル人材訓練の対象事業主としての要件を満たし、訓練経費(最大75%)や訓練期間中の賃金の一部(最大960円/時間)等について助成を受けることができます。
DX銘柄及びDXセレクションへの応募が可能
上場企業は、DX銘柄の選定対象として、DX認定の取得が必須となります。また、中堅・中小企業などでは、DX認定を取得することで、DXセレクションへの自薦での応募が可能となります。
DX認定の4つのレベル
DX認定には、企業のデジタル対応力に応じた4つのレベルがあり、企業のDX推進状況に応じた評価が行われます。
・DX-Excellent企業
最高レベルの認定で、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルの変革に成功し、業界をリードするDXを実現している企業が該当します。優れたデジタル活用実績が求められます。
・DX-Emerging企業
DX推進が進んでいる企業で、デジタル技術を導入し、組織変革や業務効率化に一定の成果を上げている企業がこのレベルに分類されます。今後さらなる発展が期待される企業です。
・DX認定事業者(DX-Ready)
DXの準備が整っている企業を示すレベルです。デジタル技術を活用するための基盤が整備され、今後DX推進に向けた具体的なアクションが期待されています。
・DX-Ready以前
現時点ではDXの準備が整っていないものの、将来的にDXに取り組む意向がある企業です。今後の努力により、上位レベルの認定を目指すことが可能です。
企業はまず「DX認定事業者(DX-Ready)」の認定を取得し、その後DX-EmergingやDX-Excellentへと段階的に進むことが推奨されます。
DX認定を取得する3つのメリット
DX認定を取得することによって得られる3つのメリットをご紹介します。

1.DX推進における課題が明確になる
DX認定を取得する際、企業は自社のデジタル戦略や体制を詳細に見直すことが求められます。申請書に記載する内容には、企業のDX推進に関する具体的な方針や目標が含まれており、その作成過程で、今まで意識していなかった課題や改善すべきポイントが明確化されます。
これにより、DXに向けた課題を整理し、自社に適した効果的な戦略を策定することが可能になります。さらに、DX推進の計画性が高まることで、デジタル技術の導入がよりスムーズに進むでしょう。これらの取り組みがDX認定の過程で自然と行われるため、企業のDX推進の基礎が強化されます。
2.企業価値の向上につながる
DX認定を取得した企業は、経済産業省やIPA(情報処理推進機構)のウェブサイトで認定事業者として公開されるため、社会的な信頼度が向上します。これにより、社外に対してデジタル化への積極的な取り組みをアピールでき、企業のブランド力が強化されます。
特に取引先や顧客に対して、DXに取り組む姿勢を示すことで、信頼性や競争力が一層高まることが期待されます。加えて、DX認定ロゴマークを活用することで、企業の認知度を高め、優秀な人材を惹きつけることにも繋がります。
認定を受けることで、企業の成長力や持続可能性が社会から高く評価され、企業価値が長期的に向上していくでしょう。
3.税制優遇が受けられる
DX認定を取得することで、企業は「DX投資促進税制」の適用を受けることができ、デジタル関連の投資に対して税額控除や特別償却の優遇措置を享受できます。
具体的には、DXに必要なデジタルインフラやシステム導入に対して、通常の税額控除とは異なる手厚い優遇が適用され、最大5%の税額控除や30%の特別償却が可能となります。
これにより、企業の投資コストを大幅に軽減し、デジタル化を進めるための資金的負担が緩和されます。特に中小企業にとっては、税制優遇の適用によりDXに向けた資金確保が容易になり、より大胆なデジタル投資を実施するきっかけとなるでしょう。
DX認定の基準「デジタルガバナンス・コード」
デジタルガバナンス・コードは、企業がデジタル化を進める際に遵守すべきガイドラインや原則のことを指します。このコードは、企業がデジタル技術を効果的かつ安全に利用するための枠組みを提供し、データの適切な管理やプライバシーの保護、セキュリティ対策など、デジタル化に伴うリスクを管理するための基準を設けています。また、デジタルガバナンス・コードは、次の4つの柱で構成されています。
経営ビジョンとビジネスモデルの策定
デジタル技術による社会や競争環境の変化を踏まえ、新しいビジネスモデルと経営ビジョンを策定し公表することが求められています。これにより、企業は変化に迅速に対応し、持続可能な成長を目指すことができます。
戦略的なデジタル技術の活用
デジタル技術による社会や競争環境の変化を踏まえ、新しいビジネスモデルと経営ビジョンを策定し公表することが求められています。これにより、企業は変化に迅速に対応し、持続可能な成長を目指すことができます。
成果と重要な成果指標(KPI)の設定と公表
DX戦略の効果を測定するために、具体的な成果指標を設定し、それに基づく成果を定期的に評価し公表することが推奨されています。これにより、戦略の効果を内外に示し、継続的な改善を図ることができます。
ガバナンスシステムの確立
DXを成功させるためには、効果的なガバナンスシステムを確立することが不可欠です。これには、デジタル技術に関する戦略の実施、サイバーセキュリティリスクへの対応、関連するすべてのステークホルダーとの適切な情報共有が含まれます。
DX認定制度の申請の手順について
企業がDXに積極的に取り組んでいることを公的に認定する「DX認定制度」の申請手順は、以下のように進められます。
1.gBizIDの取得
申請に必要なアカウントを事前に取得します。
2.申請要項の確認
IPAのウェブサイトから「DX認定制度申請要項」を確認し、必要な書類や手順を確認します。
3.申請書の作成
認定申請書に企業のDX推進状況を記載し、チェックシートに回答します。
4.申請の提出
必要な書類を準備し、DX推進ポータルサイトから申請します。申請後、審査には約60日程度かかります。
DX認定制度は、企業がデジタル化に向けた取り組みを加速させ、競争力を高めるための重要なステップです。認定を取得することで、課題の明確化、企業価値の向上、税制優遇といった多くのメリットが期待できます。まずは、DX推進の準備を整え、申請に向けて具体的な行動を実行しましょう。
パソナグループのDX人材育成
DX認定制度の申請では、DX戦略を推進するための組織づくりやDX人材育成に関する設問もあります。自社のDXを推進するために必要な人材と、そのスキルを定義し、育成に取り組まなければなりません。
私たちパソナデジタルアカデミーは、DX人材を「課題解決にデジタルを用いることができる人材」とし、2020年より育成プログラム作成・実行しています。これまでのDX研修のノウハウを活かし、お客様向けにDX人材育成プログラム提供しています。
~ DXビギナーズプログラム ~
デジタルを活用したアイデアで課題解決できる人を育成する2日間の基礎プログラム
■特徴
①ユーザー視点の課題解決に必要な思考法を体験する
②ノーコードでのアプリ作成を通じ、デジタルを身近に感じられる
③DXを自分事ととらえるマインドセットができる
~ DXリーダーズプログラム ~
DXを推進するリーダーを育成する3か月間の異業種交流型プログラム
■特徴
①DX推進を牽引するためのビジネススキルを重点的に学べる
②DX実行プラン作成を最終成果物とし、自社へ持ち帰る
③異業種交流で共に学び、アルムナイ交流として継続する越境学習
■編集後記
DXご担当者様とお話しをするとき、「自社のDX人材に求められる素養は何か?と模索中です」というお声をよくいただきます。パソナデジタルアカデミーではDX推進に関してお役に立てるご支援をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください!