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CDOとは?概要や近年求められている背景、求められるスキルやCIOとの違いを解説

近年のDX化を進める企業において、CDO(Chief Digital Officer)と呼ばれるポジションを設置するケースが増えています。
CDOは、最高デジタル責任者という意味であり、企業のDX推進の最高責任者のことを指しています。
この記事では、CDOの意味や役割、必要とされる背景、必要スキル、CIOとの違いについてわかりやすく解説していきます。
CDO(Chief Digital Officer)とは
CDO(Chief Digital Officer)とは、直訳すると「最高デジタル責任者」という意味であり、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を全社的に推進するトップ責任者を指しています。
CDOは、企業において、DXを推進しデジタル技術を活用してビジネスモデルを革新し、収益や競争力を向上させることが目的とします。それを達成するためには、経営層の一員として、IT部門だけでなく全社の事業、並びにマーケティングやオペレーションに関わります。単なるシステム導入ではなく、事業変革や顧客体験の向上をデジタルで実現することがミッションとなります。
CDOの役割
CDO(Chief Digital Officer)の主な役割は、大きく言うと「デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデルや業務プロセス、顧客体験を変革すること」です。CDOは「単なるIT導入の責任者」ではなく、デジタルで企業の成長を牽引する変革リーダーです。そのため、技術だけでなく経営・マーケティング・組織マネジメントまで関与します。
具体的には以下の5つに整理できます。
1.デジタル戦略の策定と推進
・市場・顧客動向を分析し、デジタル技術を組み込んだ経営戦略を立案
・DXロードマップの作成と実行管理
・新規事業やサービス開発の方向性決定
2.ビジネスモデルの変革
・オンライン化・サブスクリプション化など、新たな収益モデルの創出
・既存サービスや製品にデジタル機能を付加
・新しい顧客接点(EC、アプリ、SNS)の構築
3.データ活用の推進
・データ基盤(DWH、BIツール、AI分析)の整備
・データドリブン経営の文化定着
・顧客データや市場データを活用した意思決定支援
4.組織文化・人材の変革
・社員のデジタルリテラシー向上
・部門横断プロジェクトの推進
・アジャイル開発やデザイン思考の浸透
5.最新テクノロジーの導入と活用
・AI、IoT、クラウド、RPA、AR/VRなどの実証実験と実装
・外部のスタートアップやパートナー企業との連携
・セキュリティとコンプライアンスの確保
CDOが求められる背景
CDO(Chief Digital Officer)が求められている背景は、単なるIT化の必要性ではなく、市場・顧客・競争環境が急激に変化していることにあります。企業は「現状維持」ではなく、「デジタルによる事業変革」なしでは生き残れない時代になったため、CDOのように経営とデジタルを橋渡しする変革リーダーが必要になっている状況です。
具体的には、下記の4つの要因がよく知られています。
1.デジタル市場・顧客接点の急拡大
・スマホ・SNS・EC・アプリなど、顧客接点の多くがオンライン化
・消費者は「いつでも・どこでも・すぐに」サービスを求めるようになった
・オムニチャネル戦略や顧客体験(CX)の最適化が経営課題に
2.既存ビジネスモデルの限界と破壊的競争
・GAFAMや新興企業による業界破壊(例:Uber、Airbnb、Netflix)
・プラットフォーム型ビジネスやサブスクモデルへの移行圧力
・デジタルを活用しない企業は市場シェアを急速に失うリスク
3.データ活用競争の激化
・ビッグデータ・AI解析による意思決定や個別マーケティングが可能に
・データを活用した企業は顧客ロイヤルティ向上や精緻な需要予測で優位に立つ
・逆にデータを使えない企業は競争劣位に陥る
4.コロナ禍によるDX加速
・リモートワーク、オンライン会議、非対面サービスが一気に普及
・「数年先の変化」がコロナ禍で数か月単位に短縮
・DX推進のための意思決定スピードと経営直結型のデジタル戦略が不可欠に
求められるスキル・資質
CDOは経営スキル+デジタル知識+変革リーダーシップが求められます。
戦略立案力 | 経営戦略とデジタル戦略を融合させる能力 |
テクノロジー知識 | AI、IoT、クラウド、データ分析、サイバーセキュリティなど |
データ活用能力 | ビッグデータ解析やBIツール活用 |
リーダーシップ | 部門横断で組織を動かす統率力 |
変革推進力 | 既存文化や慣習を変える推進力 |
マーケティング感覚 | 顧客体験設計や市場理解 |
CIOとの違い
CDO(Chief Digital Officer)と似た役職としてCIO(Chief Information Officer)が知られていますが、それぞれの役割・目的・視点は大きく異なります。ここでは、それらの違いについて具体的に解説していきます。
整理すると以下の通りです。
1.基本的な違い
2.視点の違い
3.関係性
1.基本的な違い
CDO | CIO | |
主目的 | デジタルで事業変革・成長を推進 | 情報システムの運用・管理の最適化 |
主な領域 | 新規事業、顧客体験、データ活用、DX戦略 | ITインフラ、セキュリティ、システム運用 |
関わる部門 | 全社横断(経営・マーケ・営業・開発) | 主にIT部門・情報システム部 |
2.視点の違い
CDOとCIOはその立場や役割によって、視点が異なってきます。CDOが経営戦略側の視点で「デジタルを使って何を変えるか」を考えることが求められますが、一方のCIOはIT運用側の視点で「システムをどう安定稼働させ、効率化するか」を考えることが必要となります。
3.関係性
CDOとCIOの企業内における関係性としては、経営方針やDX方針に基づいてCDOが描いたDX戦略を、CIOがITインフラやシステム面で支える構図が理想的と考えられます。
CDOとCIOの違いを整理すると、CDOは「デジタルで攻める経営役」、CIOは「ITで守る運用役」というように位置づけられます。企業内においては、CDOとCIOの両者が連携することで、組織内のDX推進は実現スピードと安定性を両立することが可能になるといえるでしょう。
まとめ
「最高デジタル責任者」として、企業のDXを推進し、デジタル技術でビジネスモデル革新や顧客体験向上を担う経営層の一員であるCDOは、急速なデジタル化と顧客ニーズの変化に対応し、企業の競争力を維持・向上させるために不可欠な存在です。
CDOの役割は単なるIT導入ではなく、デジタルを経営戦略に組み込み、新規事業創出や顧客体験向上、データ活用による意思決定の高度化を実現を推進することです。特に市場環境が激しく変化する現代では、変革を牽引するリーダー不在は、事業成長が停滞するリスクに直結します。
CDOは全社横断で組織文化や業務プロセスを変え、スピーディーかつ持続的なDXを推進する役割を担うため、今や多くの企業でCDOの設置が急務となっています。
CDOが中心となり、組織文化や業務プロセスを変革するには、組織のメンバーである人材の育成が欠かせません。パソナデジタルアカデミーは各種デジタル人材育成プログラムを提供し、DXを推進する組織づくりに貢献いたします。
私たちはDXを、単なる技術的な挑戦ではなく、全ての働く人々に「もの創りや協働の楽しさやワクワク感」をもたらす革新的な方法論だと考えています。他者と意見を交わし合い、多様な価値観のなかで共創しながら学びあう場に、ぜひご参加をお待ちしております。
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■編集後記
DXご担当者様とお話しをするとき、「自社のDX人材に求められる素養は何か?と模索中です」というお声をよくいただきます。パソナデジタルアカデミーではDX推進に関してお役に立てるご支援をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください!