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DX人材とは?求められるスキルや役割、育成方法をわかりやすく解説
目次
企業や組織において、DX(デジタルトランスフォーメーション)は競争力を維持・強化するために欠かせない取り組みとなっています。そのDXを実現するうえで中心的な役割を担うのが「DX人材」です。
本記事では、DX人材の定義から求められるスキル、IT人材との違い、確保・育成方法までを体系的に解説します。
DX人材とは
DX人材とは何かを正しく理解することは、DX推進の第一歩です。
多くの企業では「DX人材=ITに詳しい人」と誤解されがちですが、実際にはデジタル技術を活用してビジネスや組織そのものを変革できる人材を指します。本章では、DX人材の定義や役割を整理し、他の人材との違いを明確にしていきます。
DX人材とは、AI・クラウド・データ活用などのデジタル技術を手段として用いながら、業務プロセスやビジネスモデル、組織文化の変革を推進できる人材です。
単なるシステム導入やIT化にとどまらず、「なぜ変革が必要なのか」「どのような価値を生み出すのか」を考え、実行に移せる点が特徴です。
なぜDX人材が求められるのか?
DX人材が注目される背景には、単なる人材不足だけでなく、企業を取り巻く環境の大きな変化があります。デジタル技術の進化や競争環境の激化により、従来のIT人材や業務改善の延長線ではDXが進まなくなっています。
DX人材が求められる背景には、DX推進を担う人材の不足、IT人材の役割転換、技術革新による競争環境の変化の3つがあります。
企業がデジタル変革を実現するためには、単なるIT人材の確保ではなく、DXを推進できるDX人材の育成と組織づくりが欠かせません。
DXを推進できる人材の不足
DXを掲げる企業は増えていますが、ビジネスとテクノロジーの両方を理解して実行できるDX人材はまだ少ないのが現状です。
経済産業省の調査によると、2030年には日本で最大79万人のIT人材が不足すると見込まれています。「デジタルで何を変えるのか」を考え、実行できるDXリーダーの育成が急務です。
IT人材からDX人材への役割転換
これまでのIT人材は、システム運用や保守など“守りのIT”を中心に担ってきました。
今は、デジタル技術を活用して新しい価値を生み出す“攻めのIT”が求められています。
既存のIT人材がDX人材へとスキルを広げ、業務改革やデータ活用をリードする役割を担うことが必要です。
AI・IoT・クラウドなど技術革新への対応
AIやIoT、クラウドなどの技術が進化し、デジタル活用の有無が企業の競争力を左右する時代になりました。これらを単なるツールではなく、経営や新規ビジネスの核として活かせるDX人材が求められています。DX人材は、変化に対応するだけでなく、企業の未来をつくる存在といえます。
DX人材に必要なスキル・能力・マインドセット
DX人材には、特定の技術スキルだけでなく、ビジネス理解・変革マインド・推進力など、複数の要素が求められます。ここでは、DX人材に不可欠な代表的スキルを整理します。
デジタル・ITリテラシー
AI、データ分析、クラウド、IoT、RPAなどの最新技術を理解し、業務や事業に活かす発想が必要です。DX人材は、技術そのものよりも「どのように価値に変えるか」を考えられることが重要です。
ビジネス理解力
AI、データ分析、クラウド、IoT、RPAなどの最新技術を理解し、業務や事業に活かす発想が必要です。DX人材は、技術そのものよりも「どのように価値に変えるか」を考えられることが重要です。
変革マインド
変化を恐れずに挑戦し、失敗から学び続ける柔軟さ。DX人材には、現状にとらわれず新しいアイデアを試し続ける姿勢が欠かせません。
プロジェクト推進力
DX推進では複数部門が関わるため、関係者を巻き込みながらゴールに導くマネジメント力が重要です。DX人材は、現場と経営層をつなぐ“橋渡し役”としてのリーダーシップを発揮します。
デザイン思考
顧客の立場から課題を見つけ、体験価値を高めるソリューションを構想する力です。テクノロジーを“使う”だけでなく、人に寄り添う発想を持つことがDX人材の強みになります。
データ活用力
データを根拠に意思決定を行い、業務改善や新規ビジネスの創出につなげる力が必要です。データを分析して“次の一手”を導き出せるDX人材は、企業の成長を支えるキーパーソンです。
DX人材とIT人材の違い
DX人材とIT人材はよく混同されますが、その目的と役割には明確な違いがあります。両者の違いを理解することで、自社にどの人材が必要か、今後どんなスキル育成が重要かを見極めることができます。
1.目的と役割の違い
IT人材は主にシステムの構築・運用・保守を担当し、業務の効率化や安定稼働を支える「守りの役割」を担います。一方、DX人材はデジタル技術を活用して新しいビジネスモデルやサービスを創出し、企業の競争力や価値を高める「攻めの役割」を担います。つまり、IT人材が「現状を守る存在」であるのに対し、DX人材は「未来をつくる存在」と言えるでしょう。
2.相互補完の関係
両者は対立するものではなく、DXを成功に導くためには、IT人材の技術力とDX人材の構想力が連携することが不可欠です。IT人材が安定した基盤を整え、DX人材が変革を推進することで、組織全体のデジタル活用力が高まります。
| 項目 | DX人材 | IT人材 |
|---|---|---|
| 主な目的 ・対象 | デジタルを使ってビジネスを変革する ビジネス全体(業務、顧客体験、収益モデルなど) | ITシステムの導入・運用・保守 技術中心(システム、ネットワークなど) |
| 対象範囲 | 全社的(経営・現場・企画部門を含む | 情報システム部門など限定的 |
| スキル | ビジネス理解、デザイン思考、変革マインドなど | プログラミング、ITインフラ、運用スキルなど |
DX人材とIT人材の違いを理解することは、企業のデジタル戦略を進めるうえで欠かせません。IT人材がデジタル基盤を整え、DX人材が変革をリードする。この両者がバランスよく存在することで、真のDX(デジタルトランスフォーメーション)は実現するといえるでしょう。
DX人材を確保するための戦略とアプローチ
自社でDXを進めるには、専門性の高いDX人材の確保が不可欠です。
しかし、DX人材は市場価値が高く、採用だけで確保するのは難しい時代になっています。
そのため、多くの企業では複数の手段を組み合わせた戦略が求められます。企業の状況や目的に応じて、複数の手法を組み合わせ、戦略的に人材を確保することが重要です。
ここでは、DX人材を確保するための主な戦略とアプローチを紹介します。
社内でのDX人材の育成
既存社員を育てて社内からDX人材を輩出することは、最も現実的で効果的な方法のひとつです。
自社の業務や文化を理解した社員は、現場の課題を捉えやすく、実践的なDXを進めやすいという強みがあります。
DX研修やリスキリング制度を整え、実際のプロジェクトを通じて学ぶ機会を設けることで、スキルだけでなく、自ら変革をリードする意識も育成できます。継続的な育成を仕組みとして定着させることが、組織全体のDX推進力を高める鍵となります。
中途採用(キャリア採用)
即戦力となるDX人材を確保するには、中途採用が効果的です。ただし、DX人材は市場価値が高く、採用競争も激しいため、待遇やキャリアパスの明確化など、魅力的な条件提示が欠かせません。
また、スキルや経験だけでなく、企業のDX方針や価値観への共感を重視することも重要です。共通の目的を持つ人材を迎えることで、組織の一体感が生まれ、DXを持続的に推進しやすくなります。
外部パートナーの活用
外部の専門家やコンサルティング企業との連携、副業・フリーランス人材の活用など、外部リソースを柔軟に取り入れることも効果的な戦略です。限られた社内リソースを補いながら外部の知見を活用することで、スピード感のあるDX推進と社内へのノウハウ蓄積が可能になります。
特に初期段階では外部人材の支援で基盤を整え、中長期的には社内人材へ移行するハイブリッド型の体制を構築すると効果的です。
DX人材の確保には、「育成」「採用」「外部連携」を組み合わせた総合的な取り組みが重要です。
社内で人材を育てながら、即戦力の採用や外部の知見を活用することで、変化に強い体制を築けます。
自社の現状と将来像に合った戦略的な人材確保こそが、DX推進を持続させる鍵となります。
DX人材の育成方法|自社でできる5つのステップ
DX人材は多くの企業で不足しており、中途採用などで外部から確保することは非常に難しいのが現状です。そのため、自社内でDX人材を育成する仕組みづくりがますます重要になっています。
ここでは、効果的なDX人材育成のための代表的な5つの方法を紹介します。
① 教育プログラムの導入
AI・データ分析・クラウドなどの基礎知識を体系的に学べるDX人材教育プログラムを導入します。社内研修や外部講座を活用し、社員が段階的にDXの知識を身につけられる環境を整えましょう。基礎から応用までをカバーする学習カリキュラムが、育成の土台となります。
② 実践プロジェクトへの参加
座学だけでなく、実務を通じた学びが不可欠です。小規模なDXプロジェクトに社員を参加させ、現場で課題を発見・解決する経験を積むことで、実行力や応用力が磨かれます。実践を通じて「自分ごと化」できる環境を整えることが、DX人材育成の近道です。
③ 部門横断のローテーション
IT、営業、企画などの異なる部署を経験することで、全社的な視点を養うことができます。部門間の連携を理解し、ビジネスとテクノロジーを橋渡しする力を育むことで、DXを推進できる人材へと成長します。多角的な視点を持つことが「変革リーダー」の第一歩です。
④ 学習支援制度の整備
社員が自発的にスキルアップできるよう、外部セミナーやオンライン講座、資格取得支援などの制度を整えることも有効です。こうした継続的な学びを支援する仕組みが、DX人材の成長を後押しし、企業全体のDX推進力を高めます。
⑤ ピアラーニング(同僚から学ぶ)
社内のナレッジ共有も重要です。ナレッジ共有会や勉強会などを通じて、社員同士が互いに学び合う文化を醸成しましょう。「学び合う組織」こそが、DXを継続的に進化させる原動力となります。
DX人材育成では、知識を学ぶ(知る)→ 実践で試す → 社内で共有するというサイクルを継続的に回すことが重要です。DXを推進するためには、デジタル技術だけでなく、ビジネスを理解し変革をリードできる人材が不可欠です。自社の将来を担うDX人材を育てるには、教育・実践・文化の3つの側面からアプローチすることが成功のポイントです。
まとめ
DX人材は、企業のデジタル変革を推進する中核的な存在です。技術だけでなく、ビジネスを理解し、変化をリードできる人材こそが、これからの企業の競争力を左右します。
採用・育成・外部連携といった多面的なアプローチを組み合わせ、自社に最適なDX人材戦略を構築することが、持続的な成長への第一歩です。DXは単なる技術導入ではなく、人と組織の在り方を変える「変革のプロセス」です。社員一人ひとりの成長を促し、学び続ける文化を根づかせることが、真のDX推進の鍵となるでしょう。
パソナグループのDX人材育成
部門間の連携を理解し、ビジネスとテクノロジーを橋渡しする「変革リーダー」の育成をパソナデジタルアカデミーでは支援しています。
パソナグループでは、2020年から社員のリスキリングに取り組み、業務知識のある中堅層の社員を中心に、体験を重視した実践的な研修で、DX推進をリードする「変革リーダー」人材の育成を進めてきました。
実体験もふまえ、 DXを推進できる人材を育成する3ヶ月間の研修「DXリーダーズプログラム」を提供。業界を超えたネットワークを形成し、企業のDXの成果創出を支援しています。
ビジネスアーキテクチャーデザイン、ファシリテーション、リーダーシップ、生成AI・データ活用といったDXに不可欠なスキルを総合的に学びながら、実際にDXをプランニング頂きます。
さらに、プログラム修了後もアルムナイ交流会に参加し、自社のDX推進を継続しながら、学びをアップデートする場としてご活用いただきます。
\ DXリーダーズプログラムについてもっと知りたい方 /
■編集後記
DXご担当者様とお話しをするとき、「自社のDX人材に求められる素養は何か?と模索中です」というお声をよくいただきます。パソナデジタルアカデミーではDX推進に関してお役に立てるご支援をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください!